平成23年度神奈川県支部公開講演会実施報告

平成23年7月3日(日),かながわ県民活動サポートセンター2階ホールにおいて,第10回公開講演会を実施いたしました。参加者は一般の方と役員で90余名でした。

中西幹事の司会のもと川田一美支部長の挨拶があり,講師に東京電機大学理工学部生命理工学系川井悟教授をお招きして「がんは予防できるか」とい

う講演をしていただきました。

講演会の要旨は,「第2次世界大戦以前の日本人の二大死因の1位は結核,2位は肺炎でしたが,現代では1位はがん,2位は心疾患,3位は脳血管障害です。がんが増えた原因は環境汚染,食品添加物,有害化学物質等が考えられますが,本当の理由は高齢者の人口増加,がん診断の技術の進歩です。以前は,がんが発病する前に死亡していたことや,医療機器の技術の低さにより,がんでありながらがんを発見できなかったため,見かけ上はがん患者が少なかったのです。

がんのハイリスクグループに生活習慣(ヘビースモーカー,長期喫煙者,飲酒),ウイルス感染症,遺伝子の異常・変異があり,その中で除去できるハイリスクにタバコがあり,禁煙10年で30~50パーセントのリスクが低減し,除去できないハイリスクに家族性・遺伝性リスクがあります。飲酒(男性)では,時々飲むがリスク比で1.0に対して飲まないが1.1,1日一合~二合が1.2,二~三合が1.4,三合以18上が1.6で,何も飲まない人より時々飲む人の方がリスクが低く,1日二合以上で急激にがんのリスクが上がることがわかります。

がんの予防として,食品に注意し規則正しい食事をし,正常な体重の維持,運動の維持,野菜と果物類の摂取,禁煙,アルコール飲料は適量にし,肉類・総脂肪と油・食塩の多量摂取,食品の保存,調理法(焼き魚の焦げ目等)に注意しなければなりません。

がん予防とは,とりたてて特別なことをやろうというものではなく,日常生活のなかで,少しだけ気をつければ,誰にも簡単にできることです」と,いうものでした。

本公演終了の後,質疑応答の時間が設けられました。誰もが非常に関心のある「がん」のためか熱心な質疑応答が長く続きました。

本年度開催の公開講演会も,関係者の方々のご協力とご支援により盛況のうちに終わることができました。
(服部 記)

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